資金繰り予測&シミュレーションツール

・将来の資金繰りが見通せないから不安
・設備投資を検討したいが資金不足が不安で積極的に投資できない
となり税理士事務所はこんなお悩みを解決するため、freee会計のデータから資金繰り予測を行うツールを作成し、公開しています。
資金繰り予測&シミュレーションツールの使い方
1.freee会計の資金繰りレポートCSVをダウンロード
freee会計の「分析・レポート」の「資金繰りレポート」ページで表示期間を選択したうえで、「CSVエクスポート」によりCSVデータをダウンロードしてください。
(表示期間は出来るだけ長い期間を選択した方が予測精度が向上します)

2.シミュレーションページにアクセスし、CSVアップロード
資金繰り予測&シミュレーションツールページにアクセスし、「ファイルを選択」でfreee会計からダウンロードしたCSVファイルを選択し、「予測を実行」を選択してください。

3.予測シナリオ設定によりシナリオを調整
シミュレーション結果が表示されますので、必要に応じて「予測シナリオ設定」で売上高の増減率を調整したり、「What-ifシミュレーション」で大きな資金の増減を入力することでシナリオを調整してください。
これにより、従来にない大口支払がある場合や、大規模な投資を検討する場合のシミュレーションも可能です。

4.資金不足見込みの場合は早期警告(融資など要検討)
予測期間(12か月)以内に資金不足になる可能性があれば早期警告が出ます。
早期警告を出す基準の資金残高は「早期警告設定」に入力してください。
(初期値は2,000,000円です)
資金不足の可能性がある場合は、融資を検討するなどして早期に対応してください。

当事務所では融資サポートも行っております。まずはお問い合わせください。無料でご相談をお受けします。
資金繰り予測モデルの仕組み
ツールの全体像から、予測エンジン「Prophet」の技術的な詳細までを解説します。
予測モデルの全体像
このツールは、複雑に見えるお金の流れを3つのシンプルな構成要素に「分解」して考えます。
それらをレゴブロックのように組み合わせることで、精度の高い予測を実現しています。
1. トレンド (長期的な傾向)
事業全体が上向きか下向きかという長期的な流れを捉えます。過去のデータ全体に最もフィットする一本の線を引くイメージです。
2. 季節性 (繰り返すパターン)
「年末は売上が伸びる」といった、1年周期で繰り返される特有のリズムを学習し、モデルに組み込みます。
3. 相関関係 (連動する動き)
「売上が増えれば外注費も増える」という項目間の連動性を考慮し、非現実的な予測を防ぎます。
予測の4ステップ
具体的には以下の4ステップで予測を実行します。
1.売上高の予測
最も重要な「売上高」を、トレンドと季節性を組み合わせて予測します。これがすべての予測の土台となります。
2.連動する費用の予測
予測した売上高を基に、相関関係を用いて「外注費」や「仕入高」といった主要な変動費を予測します。
3.固定費・その他項目の予測
家賃や給与などの固定費は、過去の季節性(月ごとの平均値)を基に予測します。
4.最終的な資金残高の計算
すべての予測値を合計し、最終実績月の残高から積み上げることで、将来の資金残高の推移を算出します。
予測エンジン「Prophet」詳細解説
これらのステップを実現しているのが、予測エンジンの心臓部であるProphetです。
ここでは、その仕組みをさらに詳しく見ていきましょう。
Prophetとは何か?
Prophetは、Facebook(現Meta)社が開発したオープンソースの時系列予測ライブラリです。ビジネスの世界で頻繁に遭遇するデータ特性に対応し、専門家でなくても精度の高い予測を迅速に行えるように設計されています。その最大の特徴は、時系列データを以下のシンプルな要素の足し算で表現する点にあります。
y(t) = g(t) + s(t) + h(t) + ε(t)
- g(t) – トレンド: 長期的な成長や減少の傾向
- s(t) – 季節性: 年、週、日といった周期的なパターン
- h(t) – 祝日・イベント: 不定期だが予測可能なイベントの効果
- ε(t) – 誤差: モデルでは説明できないランダムな変動
g(t): トレンド – 事業の成長性を見抜く
トレンドは、データの長期的な方向性を示します。Prophetは、単純な直線的な成長だけでなく、ビジネスの成長段階に合わせて変化する区分的線形モデルを採用。過去のデータからトレンドが大きく変化した点(変化点)を自動で検出し、より現実に即した未来のトレンドを描き出します。
s(t): 季節性 – ビジネス特有のリズムを捉える
「年末・年度末の売上ピーク」のように、ビジネスには特有の季節的なリズムが存在します。Prophetは、フーリエ級数という数学的なアプローチを用いて、こうした複雑な周期パターンを滑らかな曲線としてモデル化し、単純な月次平均では捉えきれない連続的な季節変動を学習します。
h(t) & Regressors: イベントと相関関係をモデル化する
Prophetの真価は、単純な時系列予測を超えた要因をモデルに組み込める点にあります。特別なセール期間などのイベント効果(h(t))に加え、外部レグレッサー(追加の説明変数)が決定的に重要です。
このツールでは、まず予測した「売上高」の値を説明変数として、「外注費」や「仕入高」を予測します。これにより、「売上が増えれば、コストも増える」というビジネスの現実をモデルに反映させ、予測全体の信頼性を飛躍的に向上させます。
なぜProphetがビジネス予測に適しているのか?
- 高い解釈性: 予測結果を「トレンド」「季節性」といった要素に分解できるため、「なぜこのような予測になったのか」を直感的に理解し、ビジネス上の意思決定に繋げやすいです。
- 自動化と柔軟性の両立: 多くのパラメータを自動で最適化する一方、ビジネスの知見を活かしてトレンドの変化の度合いや季節性の強さを直感的なパラメータで調整することも可能です。
- データの不完全さへの耐性: 実際のビジネスデータにありがちな欠損値や異常値に対しても、比較的安定して動作するように設計されています。
当事務所のご案内
となり税理士事務所では、こうしたツールを活用した経営支援・DX(デジタルトランスフォーメーション)支援も積極的に行っております。
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